簿記3級を学んでいこうという連載の12回目です。前回の記事はこちらになります。
この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。
前回は「決算整理」の1回目でした。以下の4点について学びました。
- 現金過不足の処理
- 当座預金のマイナス残高の負債振替
- 費用処理した項目の貯蔵品への振替
- 収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの形状
今回のお題は「決算整理2/3」です。以下の動画で学んでいきたいと思います。
この動画では以下の2点について説明されています。
このうち今回は「固定資産の減価償却」について学んでいこうと思います。
固定資産の減価償却の基本
まず復習です。固定資産とは何だったでしょうか。答えは「長期間使用する資産」です。土地、建物、備品、機械装置などが該当します。
支出を経費処理をして費用が大きくなると、利益が少なくなります。 それでは固定資産にすれば、費用にならないので利益は大きくなるのかというと、そうではありません。固定資産も「減価償却」で費用にしていくものがあります。
仕訳の例を見ていきましょう。4月1日に50万円のパソコンを現金で購入したときの仕訳は、
(借)備品 500,000(貸)現金 500,000
このパソコンの価値は、ずっと50万円というわけではありません。「何年間使うか」(耐用年数)「そのの時点での価値はいくらになるか」(残存価格)を見積もって、帳簿上の価値を減らします。この作業を「減価償却」といいます。
上記のパソコンを「5年使用したら、5年後の価値は0円」と見積もったとします。50万円が5年で0円になるので、1年あたり10万円パソコンの価値が下がります。 翌年の3月31日に決算となった場合の仕訳は
(借)減価償却費 100,000(貸)備品減価償却累計額 100,000
となります。貸方に備品減価償却累計額として10万円を計上してパソコンの価値を減らして、減った分は減価償却費という費用として借方に記載します。こうやってパソコンの帳簿上の価値(簿価という)を減らします。 さらに1年たつと、同じ仕訳をしてパソコンの簿価を減らしていきます。 この様に毎期同じ額を減らしていき方法を、定額法といいます。
もう1つの仕訳例を見ていきましょう。同様に4月1日に50万円のパソコンを現金で購入したとします。
(借)備品 500,000(貸)現金 500,000
「5年使用したら、5年後の価値は5万円」と見積もったとすると、翌年3月31日の仕訳は
(借)減価償却費 90,000(貸)備品減価償却累計額 90,000
5年間で減る金額は45万円になるので、1年あたり9万円が減価償却費として計上されます。翌年も同じ仕訳を行います。
他の例を見ていきましょう。4月1日に130万円の建物をかけで購入しました。
(借)建物 1300,000(貸)未払金 1300,000
「耐用年数 10年」「残存価格 10万円」として、翌年3月31日の決算時の仕訳は
(借)減価償却費 120,000(貸)建物減価償却累計額 120,000
となります。さらに翌年3月31日の決算でも同じ仕訳処理をした後に、4月1日に上記建物を110万円でかけ販売したとすると
(借)建物減価償却累計額 240,000(貸)建物 130,000 (借)未収入金 110,000(貸)固定資産売却益 40,000
建物購入時の簿価から、2年分の減価償却費を引いた106万円が、この時点での建物の簿価となります。110万円で売れたので、4万円の利益になります。
固定資産の減価償却の論点
上の例では期首に購入、売却をしていましたが、実際には期中に購入、売却することがほとんどです。 1月1日、130万円の建物をかけで購入した場合、
(借)建物 1,300,000(貸)未払金 1,300,000
「耐用年数 10年」「残存価格 10万円」として、同年3月31日の決算時の仕訳は
(借)減価償却費 30,000(貸)建物減価償却累計額 30,000
となります。今回は購入から3か月しか経過していないので、3か月分の減価償却費を計上します。 翌年3月31日の決算時の仕訳では、1年分の仕訳となるので
(借)減価償却費 120,000(貸)建物減価償却累計額 120,000
となります。5月31日に上記建物を110万円でかけ販売したとすると、前回の決算から2か月が経過しているので、その分の減価償却費も計上します。
(借)建物減価償却累計額 150,000(貸)建物 1,300,000 (借)減価償却費 20,000 (借)未収入金 1,100,000 (借)固定資産売却 30,000
これが期中取得、期中売却の仕訳となります。