簿記3級を学んでいこうという連載の11回目です。前回の記事はこちらになります。
この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。 前回は「決算の全体像」について学びました。決算自体のボリュームはかなりの量ですね。
今回のお題は「決算整理1/3」です。以下の動画で学んでいきたいと思います。
youtu.be 決算整理仕訳で行う作業は多岐にわたります。今回はこのうち以下の4点を見ていきます。
- 現金過不足の処理
- 当座預金のマイナス残高の負債振替
- 費用処理した項目の貯蔵品への振替
- 収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの形状
1つずつ見ていきましょう。
現金過不足の処理
仕訳例を見ていきましょう。「現金(簿記の学習_04)」の復習です。 2月28日、金庫内の現金を数えると2万円あった。帳簿上の現金勘定は20,300円であった。差額は不明である(決算日は毎年3月31日とする)。3月2日、上記差額は先日300円切手1枚を現金で購入した際に仕訳をしていなかったとが原因であった。とした場合の仕訳は
(借)現金過不足 300(貸)現金 300 (借)通信費 300(貸)現金過不足 300
となります。しかし、差額の原因が不明の場合、このまま放置することはできません。この時は決算時に
(借)雑損 300(貸)現金過不足 300
として仕訳処理します。差額が期中ではなく決算時に判明した場合は決算時の仕訳が
(借)現金過不足 300(貸)現金 300 (借)雑損 300(貸)現金過不足 300
となります。 現金過不足が貸方にある場合(現金が多かった場合)は
(借)現金 300(貸)現金過不足 300 (借)雑益 300(貸)現金 300
となります。
当座預金のマイナス残高の負債振替
こちらも仕訳例を見ていきましょう。今度は「預金(簿記の学習_05)」の復習です。 3月20日、買掛金50万円支払いのため、小切手で50万円を振り出した。当座預金には20万円しか無かったが、銀行とは当座借越契約(限度額1億円)を締結している。とすると
(借)買掛金 500,000(貸)当座預金 500,000
当座預金口座の残高はマイナスとなりますが、この処理は決算時に行います。 決算時の仕訳は、
(借)当座預金 500,000(貸)当座借越 500,000
として、当座預金口座がマイナスであることを明確にします。
費用処理した項目の貯蔵品への振替
切手や収入印紙購入時の仕訳勘定科目は、それぞれ通信費、租税公課となります。しかし、これらは換金価値が高くなるので、決算時に仕訳を行います。
2月22日、現金で切手300枚を購入した時の仕訳は
(借)通信費 30,000(貸)現金 30,000
となります。決算時点(3月31日)で上記切手のうち100枚が未使用で残っていたとすると
(借)貯蔵品 10,000(貸)通信費 10,000
となります。勘定科目「貯蔵品」は資産の扱いになります。 さらに翌期首(4月1日)、再振替仕訳を行います。
(借)通信費 10,000(貸)貯蔵品 10,000
となります。
収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの形状
3月1日、この先1年分の火災保険料12万円を現金で支払った。
(借)支払保険料 120,000(貸)現金 120,000
決算時点(3月31日)では実際に負担した保険料は1か月分で、11か月分の保険料は前払いと考えられます。そこで決算時に以下の仕訳を行います。
(借)前払保険料 110,000(貸)支払保険料 110,000
となります。勘定科目「前払保険料」は資産の扱いになります。この先11か月分の保険サービスが受けられる状態ということです。
このパターンは合計4種類あります。家賃(月1万円とする)を例にして説明すると、以下のようになります。
前払いのケース | 後払いのケース | |
---|---|---|
費用のケース(テナント側) | ①前払費用:資産 | ③未払費用:負債 |
収益のケース(大家さん側) | ②前受収益:負債 | ④未収収益:資産 |
①前払費用:資産(テナント側)
すでに代金は支払ったが、その恩恵(用益)を受けていない状態。支払家賃は費用であるが、決算時には恩恵を受けていない分は資産として計上する。1月1日に1年分(12万円)を支払ったとすると仕訳は
1月1日 (借)支払家賃 120,000(貸)現金 120,000
決算時 (借)前払家賃 90,000(貸)支払家賃 90,000
となります。
②前受収益:負債(大家さん側)
すでに代金は受け取ったが、その恩恵(用益)を与えてない状態。受取家賃は収益であるが、決算時には恩恵を与えていない分は負債として計上します。1月1日に1年分(12万円)を受け取ったとすると仕訳は
1月1日 (借)現金 120,000(貸)受取家賃 120,000
決算時 (借)受取家賃 90,000(貸)前受家賃 90,000
となります。
③未払費用:負債(テナント側)
代金は払っていないが、その恩恵(用益)を受けている状態。経費は支払った時に借方に計上するので期中の仕訳はありません。1月1日から住んでいるが、代金未払いの場合の仕訳は
決算時 (借)支払家賃 30,000(貸)未払家賃 30,000
となります。
※こちらは私の解釈となります。決算時で3か月分の未払家賃(負債)があることを明確にしておいて、支払家賃(費用)から付け替えています。
④未収収益:資産(大家さん側)
代金は受け取っていないが、その恩恵(用益)を提供済の状態。収益は受け取った時に貸方に計上するので期中の仕訳はありません。1月1日から住んでいるが、代金を受取っていない場合の仕訳は
決算時 (借)未収家賃 30,000(貸)受取家賃 30,000
となります。
※こちらも私の解釈となります。決算時で3か月分の未収家賃(資産)があることを明確にしておいて、受取家賃(収益)から付け替えまていす。
次回は決算整理2/3
いかがでしょうか。いままで「後は決算でやります」と言っていた伏線が少し回収できましたね。次回は「決算整理2/3」です。お楽しみに!!