簿記3級を学んでいこうという連載の10回目です。前回の記事はこちらになります。
この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。 前回は「純資産」について学びました。純資産は形がはっきりしないのでわかりずらいのですが、これで少しは理解できたと思います。
今回のお題は「決算の全体像」です。以下の動画で学んでいきたいと思います。
決算とは何か
ところで決算とは何でしょうか? 決算については「簿記の入門2(簿記の学習03)」の後半部分で概要を触れましたので、そちらを参考にしてください。
決算で実施する内容とは
- 期中仕訳を集計する。
- 決算整理仕訳を作成する。
- 決算整理仕訳も折り込んで再集計する。
以上のステップを踏んだうえで、財務諸表(貸借対照表と損益計算書)を作成して世間に公表することでした。
試算表
これから決算の全体像について具体的に解説していくのですが、そのためには試算表(Trial Balance:T/B)について説明しなければなりません。
試算表とは「ある時点までに作成された仕訳を集計した表」のことです。ほとんどの会社では、決算時以外にも毎月試算表を作ります。試算表のイメージは以下になります。
勘定科目ごとに仕訳を集計し、左側が借方、右側が貸方になります。当然ですが、借方、貸方の数値の合計は一致します。
試算表(期末日時点のもの)と財務諸表(貸借対照表と損益計算書)とはどういう関係にあるのでしょうか。
上で説明した決算で実施する内容は、具体的には以下のようになります。
- 期中仕訳を集計→決算整理仕訳前の試算表(前T/B)を作る
- 決算整理仕訳を作る
- 前T/Bに決算整理仕訳も織り込んで集計、決算整理仕訳後の試算表(後T/B)を作る
- 後T/Bから貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)を作る
後T/Bと貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)の関係は以下のようになります。
後T/Bの内容を勘定科目ごとに分けていくと、貸借対照表(借方:資産 貸方:負債 + 純資産)と損益計算書(借方:費用 貸方:収益)に分かれますが、この時、費用と収益の差が「当期純利益」として損益計算書に記載されて、損益計算書が完成します。
当期純利益が判明すると前回学習した通り、決算整理仕訳で「繰越利益剰余金」に振り替えます。すると、貸借対照表に計上されて貸借対照表も完成します。
つまり、損益計算書と貸借対照表は「当期純利益」「繰越利益剰余金」でつながっているのです。
決算整理仕訳で行う作業
決算整理仕訳で行う作業は多岐にわたります。
- 現金過不足の処理
- 当座預金のマイナス残高の負債振替
- 費用処理した項目の貯蔵品への振替
- 収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの形状
- 固定資産の減価償却
- 貸倒引当金の設定
- 商品売上原価の算定(三分法の決算整理仕訳)
- 利益の会計処理
- 消費税の処理
- 法人税などの処理
1~4については次回の記事で取り扱います。5以降は、次々回以降の記事でご紹介します。
次回は決算整理1/3
いかがでしょうか。今回は全体の紹介ということで軽い内容になりましたが、決算自体のボリュームはかなりの量ですね。次回から順に取り組んでいきたいと思います。そんな訳で次回は「決算整理1/3」です。お楽しみに!!