2023振り返り

今日は2023年12月01日です。2023年も残り1か月となりました。少し早いのですが、2023年の返りをしてみたいと思います。 このブログは「ノンプロ研Advent Calendar 2023」に参加しています。

adventar.org

前回の振り返りはこちらです。

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2023の目標

今回も2023年1月に立てた目標について今の状態を見ていこうと思います。2023年の総まとめです。

健康

9月に受診した人間ドックの結果がでたのですが、ちょっと値が悪かったですね。簡単に言うと、お酒の飲みすぎだと思います。夏が暑すぎたので、運動できなかったのも原因だったと思います。いま挽回するために運動してます。よくならないかな・・・。

便利ツール

2023年はAIがすごかったですね。残念ながら生かし切れていませんが、何件かのブログの執筆に使ってみました。

来年はAIを課題にしてもおもしろいと思います。

新しい仕事

今年は技術書典の年でした。「技術書典14」では本の執筆、「技術書典15」では合計5冊の書籍執筆支援を行いました。

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とくに執筆支援については、大きな学びになりました。普段自分がかかわっていない技術について、強制的に学ぶ機会が得られました。書籍執筆支援は今後も続けていきたい活動ですね。

その他、ココナラで1件簡単な仕事をしました。好評価いただけてよかったです。

プログラミング

Python中級講座2期目のTAを務めました。技術書典で執筆支援した書籍にRaspberry PiPythonを使ったものがあり、今まで学んだものが少しずつ生かされて来たみたいですね。

また、いよいよGAS初級講座を受講し始めました。

資格を取る

『簿記3級』の勉強を始めました。現在ブログ連載を継続中です。今年中に終わらせたいですね。

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それにしても、この動画教材、無料にもかかわらず良質です。今まで学んできた内容とは違っていて、勉強してよかったです。資格を取るかどうかは迷ってます(笑)

アウトプット

  • ブログ

    2023年は11月終了時点で73記事(本記事を除く)書いています。いままでの年間記録と並んでいます。あと1か月で、どこまで伸ばせるでしょうか?

  • その他

    書籍を執筆できたのは大きかったです。また、他の人の執筆支援もなかなか得られない経験だと思います。

自分と向き合う

そして自分と向き合うということで、今この記事を書いています。こうしてみると、色々やってきましたね。このタイミングで見直せて、良かったと思います。

あと1か月・・・

以上、簡単に2023年を振り返ってみました。あと1か月、気分を引き締めて、臨んでいきたいと思います!!

決算整理2/3(簿記の学習_12)

簿記3級を学んでいこうという連載の12回目です。前回の記事はこちらになります。

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この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。

前回は「決算整理」の1回目でした。以下の4点について学びました。

  • 現金過不足の処理
  • 当座預金のマイナス残高の負債振替
  • 費用処理した項目の貯蔵品への振替
  • 収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの形状

今回のお題は「決算整理2/3」です。以下の動画で学んでいきたいと思います。

youtu.be

この動画では以下の2点について説明されています。

このうち今回は「固定資産の減価償却」について学んでいこうと思います。

固定資産の減価償却の基本

まず復習です。固定資産とは何だったでしょうか。答えは「長期間使用する資産」です。土地、建物、備品、機械装置などが該当します。

支出を経費処理をして費用が大きくなると、利益が少なくなります。 それでは固定資産にすれば、費用にならないので利益は大きくなるのかというと、そうではありません。固定資産も「減価償却」で費用にしていくものがあります。

仕訳の例を見ていきまはょう。4月1日に50万円のパソコンを現金で購入したときの仕訳は、

(借)備品 500,000(貸)現金 500,000

このパソコンの価値は、ずっと50万円というわけではありません。「何年間使うか」(耐用年数)「そのの時点での価値はいくらになるか」(残存価格)を見積もって、帳簿上の価値を減らします。この作業を「減価償却」といいます。

上記のパソコンを「5年使用したら、5年後の価値は0円」と見積もったとします。50万円が5年で0円になるので、1年あたり10万円パソコンの価値が下がります。 翌年の3月31日に決算となった場合の仕訳は

(借)減価償却費 100,000(貸)備品減価償却累計額 100,000

となります。貸方に備品減価償却累計額として10万円を計上してパソコンの価値を減らして、減った分は減価償却費という費用として借方に記載します。こうやってパソコンの帳簿上の価値(簿価という)を減らします。 さらに1年たつと、同じ仕訳をしてパソコンの簿価を減らしていきます。 この様に毎期同じ額を減らしていき方法を、定額法といいます。

もう1つの仕訳例を見ていきましょう。同様に4月1日に50万円のパソコンを現金で購入したとします。

(借)備品 500,000(貸)現金 500,000

「5年使用したら、5年後の価値は5万円」と見積もったとすると、翌年3月31日の仕訳は

(借)減価償却費 90,000(貸)備品減価償却累計額 90,000

5年間で減る金額は45万円になるので、1年あたり9万円が減価償却費として計上されます。翌年も同じ仕訳を行います。

他の例を見ていきましょう。4月1日に130万円の建物をかけで購入しました。

(借)建物 1300,000(貸)未払金 1300,000

「耐用年数 10年」「残存価格 10万円」として、翌年3月31日の決算時の仕訳は

(借)減価償却費 120,000(貸)建物減価償却累計額 120,000

となります。さらに翌年3月31日の決算でも同じ仕訳処理をした後に、4月1日に上記建物を110万円でかけ販売したとすると

(借)建物減価償却累計額 240,000(貸)建物 130,000
(借)未収入金  110,000(貸)固定資産売却益 40,000

建物購入時の簿価から、2年分の減価償却費を引いた106万円が、この時点での建物の簿価となります。110万円で売れたので、4万円の利益になります。

固定資産の減価償却の論点

上の例では期首に購入、売却をしていましたが、実際には期中に購入、売却することがほとんどです。 1月1日、130万円の建物をかけで購入した場合、

(借)建物 1,300,000(貸)未払金 1,300,000

「耐用年数 10年」「残存価格 10万円」として、同年3月31日の決算時の仕訳は

(借)減価償却費 30,000(貸)建物減価償却累計額 30,000

となります。今回は購入から3か月しか経過していないので、3か月分の減価償却費を計上します。 翌年3月31日の決算時の仕訳では、1年分の仕訳となるので

(借)減価償却費 120,000(貸)建物減価償却累計額 120,000

となります。5月31日に上記建物を110万円でかけ販売したとすると、前回の決算から2か月が経過しているので、その分の減価償却費も計上します。

(借)建物減価償却累計額 150,000(貸)建物 1,300,000
(借)減価償却費 20,000
(借)未収入金  1,100,000
(借)固定資産売却 30,000 

これが期中取得、期中売却の仕訳となります。

次回は貸倒引当金の設定

いかがでしょうか。減価償却だけでかなりのボリュームでした。次回は「貸倒引当金の設定」です。今回と同じ動画で学習します。

技術書典15で新刊出ます

こんにちはHiroCom777です。2023年11月11日から『技術書典15』が開催されます。

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今回は僕が所属するノンプロ研から、なんと5冊の新刊が出ます。今回は、これら新刊5冊についてご紹介しようと思います。

Scratchでタイピングゲームを作ったら、小1がタッチタイピングが出来るようになった件

最初にご紹介するのはコチラ。Scratchに関する本です。Scratchは子供向けプログラミング学習で紹介されるツールですが、本書は大人向け。お子様向けのタイピングゲームを作ることで、親御さんも一緒にプログラムを学ぼう!!という趣旨でできています。

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『プログラムを学ぶのはチョット億劫だな・・・』って人も簡単なゲームのプログラミングなら、興味が持てますよね。 作ったゲームでお子様と遊ぶと、何かの気づきにつながると思います。

ラズパイとFlaskでつくる!Webアプリ開発入門

よくIT関係のWeb記事で『Webアプリをつくる』という言葉を耳にするのですが、いったいどういう意味なんでしょうか? 実をいうと、条件を限定すれば簡単にWebアプリを作ることができます。本書では電子工作で定番のマイコンボード 「Raspberry Pi」を使ってWebアプリを作成、公開するまでの方法を紹介しています。

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本書をなぞればWebアプリを作るということが、何なのか理解が深まるでしょう。その先の道筋も見えてくると思います。また、「Raspberry Pi」自体にも馴染むと同時に新しい可能性が見えてくるでしょう。

初心者でもわかる!Notion&GAS自動化ガイド

すっかり私たちの生活に馴染んでしまった、GmailをはじめとするGoogleのサービス。GAS(Google Apps Script)でWebAPIを使うと、人気の情報管理ツールNotionとの連携ができます。本書ではNotionデータベースとの連携を中心に、色々なGoogleサービスとの連携方法について紹介します。

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単体のツールでは限界のある運用でも、組み合わせることで問題を解決できるかもしれません。異なるツール間の連携を学ぶことで、他の解決方法も見えてくると思います。

無料ではじめるスマホアプリで作業現場効率化

建築現場などでもっとも重要視されることは「安全」です。そこで現場では「危険予知活動表」という書類を作成して、危険を予測、対策を練っていきます。言うまでもなく大切な書類なのですが、作成に手間がかかり億劫になりがちです。 本書ではノーコードツール「Glide」とGAS(Google Apps Script)を使って、「デジタル危険予知活動表」(略してDKY)を簡単に作成、共有する方法を紹介しています。

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建築現場に限らず、色々な現場で人手不足が問題になっています。解決方法のヒントとしてお役に立てる1冊だと思います。

ExcelでBIツール風 見た目で負けないインタラクティブダッシュボードを作る

色々なインターフェイスを実現したBIツールが登場している昨今ですが、Excelを使用して何とかしようという現場があるのもまた事実です。Excel自身も少しでつ進化していって、使える範囲が広がっています。本書はExcelの機能を使用して、インタラクティブダッシュボードを実現できるかというとに挑戦した意欲作です。

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目的とは裏腹に、ポップな説明用イラスト(著者自身の作)を中心に構成されており、大変読みやすくなっています。Excelツールのアイデアのヒントにいかがでしようか。

技術書典15でお待ちしています

いかがでしょうか。どれも個性的な1冊です。是非お買い求めください。 11月12日開催の池袋オフラインには私も参加予定です。ご来場お待ちしています!!

決算整理1/3(簿記の学習_11)

簿記3級を学んでいこうという連載の11回目です。前回の記事はこちらになります。

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この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。 前回は「決算の全体像」について学びました。決算自体のボリュームはかなりの量ですね。

今回のお題は「決算整理1/3」です。以下の動画で学んでいきたいと思います。

youtu.be 決算整理仕訳で行う作業は多岐にわたります。今回はこのうち以下の4点を見ていきます。

  • 現金過不足の処理
  • 当座預金のマイナス残高の負債振替
  • 費用処理した項目の貯蔵品への振替
  • 収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの形状

1つずつ見ていきましょう。

現金過不足の処理

仕訳例を見ていきましょう。「現金(簿記の学習_04)」の復習です。 2月28日、金庫内の現金を数えると2万円あった。帳簿上の現金勘定は20,300円であった。差額は不明である(決算日は毎年3月31日とする)。3月2日、上記差額は先日300円切手1枚を現金で購入した際に仕訳をしていなかったとが原因であった。とした場合の仕訳は

(借)現金過不足 300(貸)現金 300
(借)通信費 300(貸)現金過不足 300

となります。しかし、差額の原因が不明の場合、このまま放置することはできません。この時は決算時に

(借)雑損 300(貸)現金過不足 300

として仕訳処理します。差額が期中ではなく決算時に判明した場合は決算時の仕訳が

(借)現金過不足 300(貸)現金 300
(借)雑損 300(貸)現金過不足 300

となります。 現金過不足が貸方にある場合(現金が多かった場合)は

(借)現金 300(貸)現金過不足 300
(借)雑益 300(貸)現金 300

となります。

当座預金のマイナス残高の負債振替

こちらも仕訳例を見ていきましょう。今度は「預金(簿記の学習_05)」の復習です。 3月20日、買掛金50万円支払いのため、小切手で50万円を振り出した。当座預金には20万円しか無かったが、銀行とは当座借越契約(限度額1億円)を締結している。とすると

(借)買掛金 500,000(貸)当座預金 500,000

当座預金口座の残高はマイナスとなりますが、この処理は決算時に行います。 決算時の仕訳は、

(借)当座預金 500,000(貸)当座借越 500,000

として、当座預金口座がマイナスであることを明確にします。

費用処理した項目の貯蔵品への振替

切手や収入印紙購入時の仕訳勘定科目は、それぞれ通信費、租税公課となります。しかし、これらは換金価値が高くなるので、決算時に仕訳を行います。

2月22日、現金で切手300枚を購入した時の仕訳は

(借)通信費 30,000(貸)現金 30,000

となります。決算時点(3月31日)で上記切手のうち100枚が未使用で残っていたとすると

(借)貯蔵品 10,000(貸)通信費 10,000

となります。勘定科目「貯蔵品」は資産の扱いになります。 さらに翌期首(4月1日)、再振替仕訳を行います。

(借)通信費 10,000(貸)貯蔵品 10,000

となります。

収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの形状

3月1日、この先1年分の火災保険料12万円を現金で支払った。

(借)支払保険料 120,000(貸)現金 120,000

決算時点(3月31日)では実際に負担した保険料は1か月分で、11か月分の保険料は前払いと考えられます。そこで決算時に以下の仕訳を行います。

(借)前払保険料 110,000(貸)支払保険料 110,000

となります。勘定科目「前払保険料」は資産の扱いになります。この先11か月分の保険サービスが受けられる状態ということです。

このパターンは合計4種類あります。家賃(月1万円とする)を例にして説明すると、以下のようになります。

前払いのケース 後払いのケース
費用のケース(テナント側) ①前払費用:資産 ③未払費用:負債
収益のケース(大家さん側) ②前受収益:負債 ④未収収益:資産
  • ①前払費用:資産(テナント側)

    すでに代金は支払ったが、その恩恵(用益)を受けていない状態。支払家賃は費用であるが、決算時には恩恵を受けていない分は資産として計上する。1月1日に1年分(12万円)を支払ったとすると仕訳は

  1月1日 (借)支払家賃 120,000(貸)現金 120,000
  決算時 (借)前払家賃  90,000(貸)支払家賃 90,000

となります。

  • ②前受収益:負債(大家さん側)

    すでに代金は受け取ったが、その恩恵(用益)を与えてない状態。受取家賃は収益であるが、決算時には恩恵を与えていない分は負債として計上します。1月1日に1年分(12万円)を受け取ったとすると仕訳は

  1月1日 (借)現金 120,000(貸)受取家賃 120,000
  決算時 (借)受取家賃  90,000(貸)前受家賃 90,000

となります。

  • ③未払費用:負債(テナント側)

    代金は払っていないが、その恩恵(用益)を受けている状態。経費は支払った時に借方に計上するので期中の仕訳はありません。1月1日から住んでいるが、代金未払いの場合の仕訳は

  決算時 (借)支払家賃  30,000(貸)未払家賃 30,000

となります。
※こちらは私の解釈となります。決算時で3か月分の未払家賃(負債)があることを明確にしておいて、支払家賃(費用)から付け替えています。

  • ④未収収益:資産(大家さん側)

    代金は受け取っていないが、その恩恵(用益)を提供済の状態。収益は受け取った時に貸方に計上するので期中の仕訳はありません。1月1日から住んでいるが、代金を受取っていない場合の仕訳は

  決算時 (借)未収家賃  30,000(貸)受取家賃 30,000

となります。
※こちらも私の解釈となります。決算時で3か月分の未収家賃(資産)があることを明確にしておいて、受取家賃(収益)から付け替えまていす。

次回は決算整理2/3

いかがでしょうか。いままで「後は決算でやります」と言っていた伏線が少し回収できましたね。次回は「決算整理2/3」です。お楽しみに!!

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決算の全体像(簿記の学習_10)

簿記3級を学んでいこうという連載の10回目です。前回の記事はこちらになります。

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この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。 前回は「純資産」について学びました。純資産は形がはっきりしないのでわかりずらいのですが、これで少しは理解できたと思います。

今回のお題は「決算の全体像」です。以下の動画で学んでいきたいと思います。

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決算とは何か

ところで決算とは何でしょうか? 決算については「簿記の入門2(簿記の学習03)」の後半部分で概要を触れましたので、そちらを参考にしてください。

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決算で実施する内容とは

  1. 期中仕訳を集計する。
  2. 決算整理仕訳を作成する。
  3. 決算整理仕訳も折り込んで再集計する。

以上のステップを踏んだうえで、財務諸表(貸借対照表損益計算書)を作成して世間に公表することでした。

試算表

これから決算の全体像について具体的に解説していくのですが、そのためには試算表(Trial Balance:T/B)について説明しなければなりません。

試算表とは「ある時点までに作成された仕訳を集計した表」のことです。ほとんどの会社では、決算時以外にも毎月試算表を作ります。試算表のイメージは以下になります。

勘定科目ごとに仕訳を集計し、左側が借方、右側が貸方になります。当然ですが、借方、貸方の数値の合計は一致します。

試算表(期末日時点のもの)と財務諸表(貸借対照表損益計算書)とはどういう関係にあるのでしょうか。

上で説明した決算で実施する内容は、具体的には以下のようになります。

  1. 期中仕訳を集計→決算整理仕訳前の試算表(前T/B)を作る
  2. 決算整理仕訳を作る
  3. 前T/Bに決算整理仕訳も織り込んで集計、決算整理仕訳後の試算表(後T/B)を作る
  4. 後T/Bから貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)を作る

後T/Bと貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)の関係は以下のようになります。

後T/Bの内容を勘定科目ごとに分けていくと、貸借対照表(借方:資産 貸方:負債 + 純資産)と損益計算書(借方:費用 貸方:収益)に分かれますが、この時、費用と収益の差が「当期純利益」として損益計算書に記載されて、損益計算書が完成します。

当期純利益が判明すると前回学習した通り、決算整理仕訳で「繰越利益剰余金」に振り替えます。すると、貸借対照表に計上されて貸借対照表も完成します。

つまり、損益計算書貸借対照表は「当期純利益」「繰越利益剰余金」でつながっているのです。

決算整理仕訳で行う作業

決算整理仕訳で行う作業は多岐にわたります。

  1. 現金過不足の処理
  2. 当座預金のマイナス残高の負債振替
  3. 費用処理した項目の貯蔵品への振替
  4. 収益・費用の前払い・前受けと未収・未払いの形状
  5. 固定資産の減価償却
  6. 貸倒引当金の設定
  7. 商品売上原価の算定(三分法の決算整理仕訳)
  8. 利益の会計処理
  9. 消費税の処理
  10. 法人税などの処理

1~4については次回の記事で取り扱います。5以降は、次々回以降の記事でご紹介します。

次回は決算整理1/3

いかがでしょうか。今回は全体の紹介ということで軽い内容になりましたが、決算自体のボリュームはかなりの量ですね。次回から順に取り組んでいきたいと思います。そんな訳で次回は「決算整理1/3」です。お楽しみに!!

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純資産(簿記の学習_09)

簿記3級を学んでいこうという連載の9回目です。前回の記事はこちらになります。

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この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。 前回は「固定資産・経費等」について学びました。色々な仕訳が出てきましたね。

今回のお題は「純資産」です。以下の動画で学んでいきたいと思います。

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純資産

簿記3級で扱う純資産の勘定科目は

の3つになります。このうち今回扱うのは「資本金」のみです。「繰越利益剰余金」「利益準備金」については簡単に触れるだけにします。

資本金

今までの簿記3級は個人商店での経理でしたが、令和元年6月の試験から株式会社での経理が対象となりました。

株式会社は何かというと、株式を発行して投資家に買い取ってもらい、そのお金を運営資金として企業活動をする会社ということです。投資家は株主という立場になります。株主になると、株主総会で意見を言えたり、会社から配当金をもらえたりできます。株主は株式の買い取りを通してお金を出して(出資)いますので、簡単に言うと会社の所有者の立場になります(社長より偉い)。

会社法では登記をした時点で会社が設立されるのですが、簿記的には株式の発行スタートになります。それでは株式を発行して投資家に買い取ってもらう場合の仕訳例を見ていきましょう。

株式会社設立にあたり、株式10,000株を1株当たり1,000円で発行し、投資家から全株式の払い込みを受けた(当座預金に入金)場合の仕訳は

(借)当座預金 10,000,000(貸)資本金 10,000,000

となります。資本金は純資産に当たりますが、純資産は姿・形はないし、債権でも債務でもありません。続きの仕訳を見てみましょう。

設立から5年後に、さらに5,000株を1株当たり3,000円で発行し、投資家から全株式の払い込みを受けた場合の仕訳は

(借)当座預金 15,000,000(貸)資本金 15,000,000

となります。この様に会社設立後にさらに株式を発行して資金を得ることを「増資」といいます。

結果、この時点での会社の資本金は25,000,000円になり、この時点でこの会社は「資本金2,500万円の会社」となります。つまり、資本金とは「今まで出資された金額の累計値」なのです。

当座預金にあるお金は、その後の企業活動によって増減しますので、資本金とは一致せず、無関係です。資本金とは企業規模を測る参考値なのです。

株式会社とは何か

それでは株式会社とは何なんでしょうか?会社でない場合(個人事業主など)と比較するとわかりやすいと思います。

      個人事業主フリーランス 株式会社
始めるタイミング 特になし 会社法の通りの設立手続き
名前 つけなくていい 会社名を必ずつける
信用 一般的に低い 個人事業主よりも高い傾向
契約名義 個人名義 会社名義
役員 いない 必ずいる

個人でビジネスを始めて、儲かってきたら会社にする(法人化)流れが多いです。会社になったとたんに会社法に従って運営しなければならなくなります。つまり、簿記の学習でも会社法が絡んでくることになります。

繰越利益剰余金

繰越利益剰余金とは、決算整理仕訳の1つになります。

1年間の収益合計が5,000万円、費用の合計が4,000万円だったとすると、当期純利益は1,000万円になります。 これを損益計算書にすると

(借)費用    40,000,000(貸)収益 50,000,000
(借)当期純利益 10,000,000

となります。実際には以下のように仕訳します。

(借)諸収益 50,000,000(貸)損益  50,000,000
(借)損益  40,000,000(貸)諸費用 40,000,000
(借)損益  10,000,000(貸)繰越利益剰余金 10,000,000
  1. まず収益の合計を諸収益として損益に振り替えます。
  2. 費用についても合計を諸費用として損益に振り替えます。この時点で損益は1,000万円の貸方残になります。
  3. この損益の1,000万円を繰越利益剰余金として、貸方に付け替えます。

次の年も同様に仕訳をしていき、その年の繰越利益剰余金が2,000万円だったとします。 すると、繰越利益剰余金の合計は3,000万円となります。つまり繰越利益剰余金とは今まで得てきた利益の累積値なのです。 繰越利益剰余金には形がありません。債権でも債務でも権利でも義務でありません。

利益準備金

利益準備金は、会社法によって積み立てることが義務付けられている法定準備金の1つです。「繰越利益剰余金」の一部を「利益準備金」に振り替えなければなりません。

3,000万円の繰越利益剰余金のうち500万円を利益準備金とする場合の仕訳は

(借)繰越利益剰余金 5,000,000(貸)利益準備金 50,000,000

となります。これは単なる勘定科目の変更です。(会社法の都合)

銀行借入と株式発行による資金調達の違い

最後に銀行借入と株式発行による、資金調達の違いについてまとめました。

銀行借入による資金調達 株式発行による資金調達
返済義務 あり→負債となる なし→純資産となる
支払うもの 利息 配当
株主総会への参加 できない できる

負債となるか、純資産となるかが大きな違いですね。

次回は決算の全体像

いかがでしようか。純資産は形がはっきりしないのでわかりずらいのですが、これで少しは理解できたと思います。 次回はいよいよ決算です。お楽しみに!!

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固定資産・経費等(簿記の学習_08)

簿記3級を学んでいこうという連載の8回目です。前回の記事はこちらになります。

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この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。 前回は「手形・電子記録債権」について学びました。ちょっと複雑になってきましたね。

今回のお題は「固定資産・経費等」です。以下の動画で学んでいきたいと思います。

www.youtube.com

資産と費用

同じお金を払っても、借方を資産にするのか費用にするのかで損益が変わってきます。 まず、以下の勘定科目を考えてみると、こうなります。

対象 勘定科目 資産/費用 その他
パソコン 備品 資産 ---
備品 資産 ---
本社ビル 建物 資産 不動産
土地 土地 資産 不動産
切手 通信費 費用※ ---
鉛筆 消耗品費 費用 ---
電気代 水道光熱費 費用 ---

※切手は通信費として計上しますが、未使用分は決算時に費用とします。 固定資産とは、長期間(一年以上)使用するものです。不動産とは、土地、建物のことです。 不動産は固定資産の一部になります。

その他の論点

今回は論点がたくさんあります。

  • 固定資産
  • 経費
  • 商品券
  • 貸付金・借入金
  • 預り金
  • 仮払金・仮受金
  • 保証金

1つずつ見ていきましょう

固定資産

固定資産で重要なのは決算整理仕訳の1つである「減価償却」です。 これは後日別途論じますので、ここでは勘定科目を覚えるだけです。

事務所用に20万円のPCをツケで購入した場合の仕訳は

(借)備品 20,000(貸)未払金 20,000

営業車を100万円で購入した。代金は当座預金から支払った場合の仕訳は

(借)車両運搬具 1,000,000(貸)当座預金 1,000,000

車両の勘定科目は車両運搬具となります。

経費

経費もあまり難しいところはありません。支払の勘定科目が費用になるだけです。これも勘定科目をおぼえるだけです。

ガス代1万円を現金で仕切らった場合の仕訳は

(借)水道光熱費 10,000(貸)現金 10,000

所属商店街の会費1,000円を支払った場合の仕訳は

(借)諸会費 1,000(貸)現金 1,000

となります。

収入印紙や切手は、期中では費用として計上されますが、換金性が高いので決算では資産に振り替えます。

商品券

商品券は、商品を売って商品券を受け取った場合の仕訳について取り扱います。 商品2万円を販売し、代金は加盟する商店街発行の商品券で受け取った場合の仕訳は

(借)換金請求権 20,000(貸)売上 20,000

となります。換金請求権は債券(負債)です。発行元が金融機関ではないので通貨代用証券ではありません。後日商店街本部に該当商品券を渡して、現金を受け取ったとすると

(借)現金 20,000(貸)換金請求権 20,000

となります。

貸付金・借入金

A社はB社に現金100000円を貸し付けた。条件は、年利2%、1年後に利息と原本を一括返済としてた場合の仕訳は

A社側

(借)貸付金 100,000(貸)現金 100,000
1年後は
(借)現金 102,000(貸)貸付金 100,000
                  (貸)受取利息 2,000

B社側

(借)現金 100,000(貸)借入金 100,000
1年後は
(借)借入金 100,000(貸)現金 102,000
(借)支払利息 2,000

勘定科目の貸付金は、役員に貸し付けた場合「役員貸付金」、従業員に貸し付けた場合「従業員貸付金」となります。

預り金

預り金は、他人のお金を預かっている状態(負債)を表します。簿記3級では給料がらみの預かり金を扱います。

通常企業が従業員に支払う給料には、税金(所得税)がかかります。所得税は給料支払いと同時に、企業が税務署に払います。給料には他にも、社会保険料がかかります。社会保険料は、企業と従業員がほぼ折半で、企業が年金事務所に納めます。

仕訳を見てみましょう。A社の従業員の給料は合計800万円であった。このうち所得税は80万円であり、社会保険料(従業員負担分)は100万円であった。よって、差額を当座預金から従業員に支払った。この場合の仕訳は

(借)給料 8,00,000(貸)当座預金        6,200,000
                   (貸)所得税預り金      800,000
                   (貸)社会保険料預り金 1,000,000

仮払金・仮受金

これまでは、入出金の中身はわかっていたが、つもそうだとは限りません。中身が不明な入出金もあります。仮払金・仮受金はこの時に使う勘定科目です。 仮払金は中身が不明な出金、仮受金は中身が不明な入金です。

出張前に事前にまとまったお金を渡して、後日精算することがあります。仕訳例です。

社員が出張するので、事前に現金10万円を渡した場合、

(借)仮払金 100,000(貸)現金 100,000

となります。後日、出張費はタクシー代1万円、電車代7万円とわかり、残金は返金されたとすると

(借)旅費交通費 80,000(貸)仮払金 100,000
(借)現金  20,000

となります。最近ではICカード電子マネー)で扱う例もあります。

A社は業務用に使用しているICカードに現金2万円をチャージした。なお、チャージしたときに「仮払金」勘定を用いる、とした場合

(借)仮払金 20,000(貸)現金 20,000

後日、従業員が上記ICカードを使って電車代1万円を支払ったとすると

(借)旅費交通費 10,000(貸)仮払金 10,000

ちなみにICカードは旅費交通費にしか使用しない場合には、以下のような仕訳も可能です。

(借)旅費交通費 10,000(貸)現金 10,000

一方、仮受金は不明な入金に適用します。仕訳例です。 当座預金に1万円の入金があったが、何の代金なのか不明である場合、

(借)当座預金 10,000(貸)仮受金 10,000

後日、売掛金の回収であることがわかったとすると

(借)仮受金 10,000(貸)売掛金 10,000

となります。

保証金

簿記3級における保証金とは「敷金」のことを指します。「差入保証金」という勘定科目を使います。仕訳例を見てみましょう。

事務所の賃借にあたりも1ヵ月文の家賃10万円、仲介手数料5万円、敷金20万円を当座預金から支払ったとすると、

(借)支払家賃 100,000(貸)当座預金 350,000
(借)支払数料 50,000
(借)仕入保障金 200,000

仕入保障金」は全額戻ってくるものと考え、資産とします。後日、上記事務所の賃貸契約を解消し、敷金全額が当座預金に返金されたとすると

(借)当座預金 200,000(貸)仕入保障金 200,000

となります。

次回は「純資産」

いかがでしょうか。内容が多くててんこ盛りでしたね。次回は「純資産」です。説明が難しいと言っていたみたいですが、どうなんでしょう?お楽しみに!!

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