商品売買(簿記の学習_06)

簿記3級を学んでいこうという連載の6回目です。前回の記事はこちらになります。

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この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。

前回は「預金」について学びました。企業と銀行のやり取りを少しだけ覗けたみたいです。

今回のお題は「商品」です。企業活動の主役ですね。以下の動画で学んでいきたいと思います。

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売買仕訳の基本

復習です。仕訳では、資産の増加、費用の発生は借方。負債、純資産の増加、収益の発生は借方に記載します。

簿記では取引の対象が商品なのかどうかが重要です。企業活動の「商品売買」がメインだからです。 取引の対象が商品か商品でないかで勘定科目が異なります。

商品の場合→売掛金、買掛金 商品以外の場合→未収入金、未払金

となります。

三分法(と分記法)

通常の企業活動では、仕訳の処理方法に分記法を使います。 しかし、企業にとって重要かつ大量な取引(=商品売買)については、三分法を使用することが多いのです。分記法と三分法、そして両者の違いについては「簿記の入門2(簿記の学習03)」を参照してください。

「商品売買」でのその論点

「商品売買」にはその他に以下の5つの論点があります。

  • 付随費用
  • 返品
  • 原価・有高の算定
  • 前払金と前受金
  • クレジットカードでの販売

1つずつ見ていきましょう。

付随費用(仕入諸掛り・売上諸掛り)

商品を仕入れる際に、仕入れ代金以外に費用が掛かることがあります。この費用(不随費用)のことを仕入諸掛りといいます。この費用は仕入れに加えます。個別の〇〇費とはしません。

「商品200円をかけで仕入れた。その際発送料(買主負担)として10円がかかり現金で支払った。」場合の仕分けは

(借)仕入 210(貸)買掛金 200
              (貸)現金  10

となります。簿記では「取得するためにかかった諸費用は、そのモノの取得原価に入れる」という考え方があります。これは商品に限ったことではなく、今後も出て着る考え方です。 このとき売主側の仕訳は

(借)売掛金 200(貸)売上 200

仕入諸掛りは売主には何の影響も及ぼしません。

逆に、商品を販売する際に、かかった費用は費用として計上します。これを売上諸掛りといいます。

「商品300円をかけで販売した。その際、発送料(売主負担)として20円がかかり現金で支払った。」場合の仕分けは

(借)売掛金 300(貸)売上 300
(借)発送費 20 (貸)現金 20

不随費用20円は、借方の発送費とします。 このとき買主側の仕訳は

(借)仕入 300(貸)買掛金 300

買主には何の影響も及ぼしません。

「商品200円をかけで仕入れた。その際発送料(売主負担)として10円がかかったが、売主に変わって現金で立て替えた」場合の仕分けはどうなるでしょう。

(借)仕入   200(貸)買掛金 200
(借)立替金 10(貸)現金     10

となります。仕入を210円にしてはいけません。10円は、売主に後で請求できるのです。 ところで、あとで売主に請求するということは、買掛金と相殺することも可能です。つまり

(借)仕入   200(貸)買掛金 190
               (貸)現金     10

という仕訳も可能です。

返品

買った商品が品違いだったため返品した場合は、買った時の反対仕訳をするだけです。 打った商品が品違いだったため返品された合は、売った時の反対仕訳をするだけです。

商品(1個200円)を10個かけで仕入れた場合

(借)仕入 2,000(貸)買掛金 2,000

となります。後日このうち2個の商品が品違いだったため2個返品したとすると

(借)買掛金 400(貸)仕入 400

となります。その後購入した商品のうち3個を、1個300円でかけ販売した場合は

(借)売掛金 900(貸)売上 900

となります。次の日に販売した商品のうち品違いがあり、1個返品されたとすると

(借)売上 300(貸)売掛金 300

原価・有高の算定

単価100円の商品Aを10個仕入れました。
その後同じ商品Aを単価130円で仕入れました。在庫は合計30個になります。

後日、商品Aを1個150円で販売しました。この時の商品Aの仕入れ値はいくらでしょうか?

「先に仕入れた方を先に出すので100円」とする考え方を先入先出法といいます。在庫は 100円×9個+130円×20個で3,500円となります。

「全体の平均で120円」とする考え方を移動平均といいます。在庫は120円×29個で3,480円となります。

これらの考え方は、どちらが正しいというわけではありません。

前払金と前受金

商品を買う際に、前もって代金の一部・全部を払っておくケースがあります。これを内金、手付金などといいます。この支払には「前払金」という勘定科目を使います。前払い金は資産の扱いになります。

8万円の商品を購入にさいして、手付金として1万円の小切手をふりだして渡した場合

(借)前払金 10,000(貸)当座預金 10,000

となります。後日商品の引き渡しを受けた。残額は月末払いとした場合

(借)仕入 80,000(貸)前払金 10,000
                 (貸)買掛金 70,000

となります。手付金を払った時に仕入れを計上してはいけません。商品の引き渡しがまだので、売買が成立していないからです(簿記的には)。

これを商品を売る側から見てみましょう。売る側が内金、手付金などを受け取った場合「前受金」という勘定科目を使います。前受金は負債の扱いです。

上のやり取りを売る側から仕訳してみると

(借)現金 10,000(貸)前受金 10,000

商品を引き渡した後には

(借)売掛金 70,000(貸)売上 80,000
(借)前受金 10,000

となります。

クレジットカードでの販売

最後にクレジットカード支払いの場合です。クレジットカード払いの場合、販売店、顧客以外にクレジットカード会社(信販会社)が登場します。

10,000円の商品を顧客にクレジットカード払いで販売した。カード会社の手数料は販売代金の2%となる。手数料は販売時に計上する、とした場合の仕訳は

(借)クレジット売掛金 9,800(貸)売上 10,000
(借)支払手数料     200

となります。後日、カード会社から販売店へ商品代金が当座預金口座に支払われたとすると

(借)当座預金 9,800(貸)クレジット売掛金 9,800

となります。

次回は手形・電子記録債権

いかがでしょうか。企業活動の主役だけあってボリュームありましたね。次回は「次回は手形・電子記録債権」です。だんだん複雑になってきますね。頑張りましょう!!

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