簿記3級を学んでいこうという連載の13回目です。前回の記事はこちらになります。
この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。
前回は「決算整理」の2回目でした。「固定資産の減価償却」について学びました。
今回は「決算整理」の3回目です。前回に引き続き、以下の動画で学んでいきたいと思います。
この動画では以下の2点について説明されています。
このうち今回は「貸倒引当金の設定」(12:50から)について学んでいこうと思います。
貸倒引当金
貸したお金は必ず返ってくるか、ツケ代金は必ず回収できるかというと、そういうわけではありません。相手が倒産してしまったり、夜逃げしてしまったりすることがあります。これを「貸し倒れ」といいます。
簿記会計では、過去の経験から発生する貸し倒れの割合を予測して、これを決算で仕訳します。これを「貸倒引当金」といいます。
貸し倒れの処理
まずは「貸し倒れの処理」について学んでいきます。仕訳の例を見ていきましょう。2月12日にA社に2,000円の商品を掛販売したときの仕訳は、
(借)売掛金 2,000(貸)売上 2,000
その後、同年2月20日、A社が倒産し、上記売掛金が貸し倒れとなった場合
(借)貸倒損失 2,000(貸)売掛金 2,000
売掛金がなくなって(資産の減少)、貸倒損失という費用が発生しました。これが貸し倒れの処理です。
貸倒引当金の設定
3月31日(期末日)が終了し、はじめての決算で売掛金の残高が100万円とします。このうち3%は回収できないと見積もられたとします。この際、決算整理仕訳で貸し倒れの費用を計上します。
(借)貸倒引当金繰入 30,000(貸)貸倒引当金 30,000
貸倒引当金は負債っぽいのですが、実際にはマイナスの資産です。貸倒引当金繰入は費用になります。この仕訳を「貸倒引当金の設定」といいます。
貸し倒れに備えて、今のうちに資産を減額して費用を計上する(貸し倒れに対して心の準備をしおく)ということです。日本の会計基準では、費用は「発生主義」なので、この仕訳が必要です。
発生主義とは、金銭のやり取りの有無に関係なく取引が発生した時点で、費用と収益を計上するという考え方です。
同年4月10日得意先A社が倒産し、A社に対する売掛金が回収不能となった。A社に対する売掛金は5,000円で、上記100万円に含まれている。
(借)貸倒引当金 5,000(貸)売掛金 5,000
この場合、借方は貸倒損失にはなりません。すでに貸倒引当金繰入として費用に計上してあるので、貸倒引当金になります。貸倒損失として費用計上することはありません。
2年目の論点 決算をまたぐ場合
3月31日(期末日)が終了し決算となりました。このとき売掛金の残高が200万円だったとします。このうち3%は回収できないと見積もられました。貸倒引当金の残高は5万円だとすると
(借)貸倒引当金繰入 10,000(貸)貸倒引当金 10,000
用意したい貸倒引当金は200万円の3%で6万円ですので、差額の1万円を計上します。
この時、貸倒引当金の残高が8万円だとすると、差額の2万円を戻します。
(借)貸倒引当金 20,000(貸)貸倒引当金戻入 20,000
貸倒引当金戻入は収益となります。貸倒引当金は6万円になります。
貸倒処理した債券が、後日回収できた場合
貸倒処理した債券が、後日回収できた場合を見てみましょう。
3月1日に、A社に500円の商品をかけ販売した場合
(借)売掛金 500(貸)売上 500
同年3月10日、A社が倒産してしまいました。
(借)貸倒損失 500(貸)売掛金 500
ところが同年3月20日に、A社から500円現金で回収できたとします。この場合
(借)現金 500(貸)貸倒損失 500
となります。
この日付が同年4月1日の場合、つまり決算を挟んだ場合
(借)現金 500(貸)償却債権取立益 500
となります。償却債権取立益は収益となります。
決算を挟むと貸倒損失を計上していないので、貸方に貸倒損失と記載できません。また、3月31日時点で、A社に対する売掛金は(貸倒処理済なので)帳簿上にはありません。よって、貸倒引当金の設定対象にもなっていません。
次回は決算整理3/3
いかがでしょうか。「決算整理2/3」はボリュームが多いので、「固定資産の減価償却」と「貸倒引当金の設定」の2回に分けてまとめてみました。次回は「決算整理3/3」です。「商品売買原価の算定」、「利益の会計計上」について学びます。お楽しみに!!