固定資産・経費等(簿記の学習_08)

簿記3級を学んでいこうという連載の8回目です。前回の記事はこちらになります。

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この連載ではふくしままさゆき先生の動画を使って簿記3級の勉強をしていきます。 前回は「手形・電子記録債権」について学びました。ちょっと複雑になってきましたね。

今回のお題は「固定資産・経費等」です。以下の動画で学んでいきたいと思います。

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資産と費用

同じお金を払っても、借方を資産にするのか費用にするのかで損益が変わってきます。 まず、以下の勘定科目を考えてみると、こうなります。

対象 勘定科目 資産/費用 その他
パソコン 備品 資産 ---
備品 資産 ---
本社ビル 建物 資産 不動産
土地 土地 資産 不動産
切手 通信費 費用※ ---
鉛筆 消耗品費 費用 ---
電気代 水道光熱費 費用 ---

※切手は通信費として計上しますが、未使用分は決算時に費用とします。 固定資産とは、長期間(一年以上)使用するものです。不動産とは、土地、建物のことです。 不動産は固定資産の一部になります。

その他の論点

今回は論点がたくさんあります。

  • 固定資産
  • 経費
  • 商品券
  • 貸付金・借入金
  • 預り金
  • 仮払金・仮受金
  • 保証金

1つずつ見ていきましょう

固定資産

固定資産で重要なのは決算整理仕訳の1つである「減価償却」です。 これは後日別途論じますので、ここでは勘定科目を覚えるだけです。

事務所用に20万円のPCをツケで購入した場合の仕訳は

(借)備品 20,000(貸)未払金 20,000

営業車を100万円で購入した。代金は当座預金から支払った場合の仕訳は

(借)車両運搬具 1,000,000(貸)当座預金 1,000,000

車両の勘定科目は車両運搬具となります。

経費

経費もあまり難しいところはありません。支払の勘定科目が費用になるだけです。これも勘定科目をおぼえるだけです。

ガス代1万円を現金で仕切らった場合の仕訳は

(借)水道光熱費 10,000(貸)現金 10,000

所属商店街の会費1,000円を支払った場合の仕訳は

(借)諸会費 1,000(貸)現金 1,000

となります。

収入印紙や切手は、期中では費用として計上されますが、換金性が高いので決算では資産に振り替えます。

商品券

商品券は、商品を売って商品券を受け取った場合の仕訳について取り扱います。 商品2万円を販売し、代金は加盟する商店街発行の商品券で受け取った場合の仕訳は

(借)換金請求権 20,000(貸)売上 20,000

となります。換金請求権は債券(負債)です。発行元が金融機関ではないので通貨代用証券ではありません。後日商店街本部に該当商品券を渡して、現金を受け取ったとすると

(借)現金 20,000(貸)換金請求権 20,000

となります。

貸付金・借入金

A社はB社に現金100000円を貸し付けた。条件は、年利2%、1年後に利息と原本を一括返済としてた場合の仕訳は

A社側

(借)貸付金 100,000(貸)現金 100,000
1年後は
(借)現金 102,000(貸)貸付金 100,000
                  (貸)受取利息 2,000

B社側

(借)現金 100,000(貸)借入金 100,000
1年後は
(借)借入金 100,000(貸)現金 102,000
(借)支払利息 2,000

勘定科目の貸付金は、役員に貸し付けた場合「役員貸付金」、従業員に貸し付けた場合「従業員貸付金」となります。

預り金

預り金は、他人のお金を預かっている状態(負債)を表します。簿記3級では給料がらみの預かり金を扱います。

通常企業が従業員に支払う給料には、税金(所得税)がかかります。所得税は給料支払いと同時に、企業が税務署に払います。給料には他にも、社会保険料がかかります。社会保険料は、企業と従業員がほぼ折半で、企業が年金事務所に納めます。

仕訳を見てみましょう。A社の従業員の給料は合計800万円であった。このうち所得税は80万円であり、社会保険料(従業員負担分)は100万円であった。よって、差額を当座預金から従業員に支払った。この場合の仕訳は

(借)給料 8,000,000(貸)当座預金        6,200,000
                   (貸)所得税預り金      800,000
                   (貸)社会保険料預り金 1,000,000

仮払金・仮受金

これまでは、入出金の中身はわかっていたが、つもそうだとは限りません。中身が不明な入出金もあります。仮払金・仮受金はこの時に使う勘定科目です。 仮払金は中身が不明な出金、仮受金は中身が不明な入金です。

出張前に事前にまとまったお金を渡して、後日精算することがあります。仕訳例です。

社員が出張するので、事前に現金10万円を渡した場合、

(借)仮払金 100,000(貸)現金 100,000

となります。後日、出張費はタクシー代1万円、電車代7万円とわかり、残金は返金されたとすると

(借)旅費交通費 80,000(貸)仮払金 100,000
(借)現金  20,000

となります。最近ではICカード電子マネー)で扱う例もあります。

A社は業務用に使用しているICカードに現金2万円をチャージした。なお、チャージしたときに「仮払金」勘定を用いる、とした場合

(借)仮払金 20,000(貸)現金 20,000

後日、従業員が上記ICカードを使って電車代1万円を支払ったとすると

(借)旅費交通費 10,000(貸)仮払金 10,000

ちなみにICカードは旅費交通費にしか使用しない場合には、以下のような仕訳も可能です。

(借)旅費交通費 10,000(貸)現金 10,000

一方、仮受金は不明な入金に適用します。仕訳例です。 当座預金に1万円の入金があったが、何の代金なのか不明である場合、

(借)当座預金 10,000(貸)仮受金 10,000

後日、売掛金の回収であることがわかったとすると

(借)仮受金 10,000(貸)売掛金 10,000

となります。

保証金

簿記3級における保証金とは「敷金」のことを指します。「差入保証金」という勘定科目を使います。仕訳例を見てみましょう。

事務所の賃借にあたりも1ヵ月分の家賃10万円、仲介手数料5万円、敷金20万円を当座預金から支払ったとすると、

(借)支払家賃 100,000(貸)当座預金 350,000
(借)支払手数料 50,000
(借)仕入保障金 200,000

仕入保障金」は全額戻ってくるものと考え、資産とします。後日、上記事務所の賃貸契約を解消し、敷金全額が当座預金に返金されたとすると

(借)当座預金 200,000(貸)仕入保障金 200,000

となります。

次回は「純資産」

いかがでしょうか。内容が多くててんこ盛りでしたね。次回は「純資産」です。説明が難しいと言っていたみたいですが、どうなんでしょう?お楽しみに!!

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