書評_書ける人だけが手にするもの

皆さんこんにちは。今日はふとしたきっかけで手にする事になった以下の本をご紹介しようと思います。

書ける人だけが手にするもの (SB新書) | 齋藤 孝 |本 | 通販 | Amazon

僕自身所属しているノンプロ研で、技術ライティング講座にかかわることが多いのですが、そういうこともあって文章の書き方についての本は気になってました。

自慢ではありませんが本を読むのが大の苦手です。絵本、漫画本を除けば最初から最後まで通読した本は殆んどありません。ところがこの本は、最初から最後まで何の抵抗もなく読むことができました。つまり読みやすい文章なのです。そして、書いてある内容に対して大いに共感するところがありました。

著者の齋藤孝先生は著書700冊を越える多作で「声に出して読みたい日本語」などベストセラーもたくさん出されています。読みやすい(伝わりやすい)文章を書く達人ですね!!

なぜ書けないのか

そして、僕は書くこと自体にあまり抵抗を感じません。後から読み返すと文章自体はボロボロなのですが、それでも書くことを億劫に思うことはほぼありません。この原因は僕自身はっきりとはわかりません(単なる無神経なだけかもしれません。)。対して、世の中には書くことができなくて悩んでする人が大勢いるようです。

本書は表題からもわかるように、書くことができなくて困っている人を対象にしています。読みやすい(そして内容のある)文章を量産できる著者が推奨する文章を書くコツ。それが本書の内容になっています。なんだか気になりませんか?

それでは著者は、どのようなことを述べているのでしょうか?以下にかいつまんでご紹介します。

書きながら考える

文章を書く場合、まず「考えて」内容がまとまってから「書く」ものだと思っている人は多いのではないのでしょうか?その思い込みが長い文章を書くことに対する苦手意識の源だと著者は説いています。「考えてから書く」のではなく、「書きながら考える」ことこそ文章を書くコツです。

以下は前書きからの抜粋です

「人間は高度に知性が発達した動物ですから絶えず志向や感情が頭のなかで渦巻いています。いろいろなことが浮かんでは消えていく。とくに何もしなければ、私たちは自分が今、何を考えているか、どのような気持ちでいるかに対してほぼ無自覚です。」

これらの漠然とした思考の状態を、書き言葉にすることによって客観視できるといいます。「考えながら書く」と、「書きながら考える」を繰り返すことによって、自分の思考を体現した文章ができあがっていきます。書くことで、自分の思考が明確になるということです。

これはいわば「思考と表現を同時に行う」事に他ならないのですが、これは普通の人が「話す」という行為の中で行っていることです。つまり、「話すこと」と「書くこと」を近づけることで書くことへのハードルが下がります。

この様に「話すように書く」事のトレーニングとして以下の3つのステップが紹介されています。

1. 好きな本を読み、キーワードをピックアップする

2. 読んだ感想を人に話す→「書くように話す」を意識する

3. 話した内容を元に書いてみる→話すように書いてみる

このステップを繰り返すことによって「話すこと」と「書くこと」を近づけることができ、「書きながら考える」事が身について、最終的には長い文章が楽に書ける様になります。

この考え方には僕も腹落ちするするところがあります。無意識のうちに、これらの行為を繰り返しているのかもしれません。

文章の型

著者は、いい文章にはフック(読み飛ばせない引っ掛かり)があると言います。本書ではフックとして大まかに以下の3種類が紹介されています。

  • 読む人の関心をひっかけるフック

  • 文章の構成上のフック

  • 自分の心をひっかけるフック

つまり、「文章の主題、テーマ」と、「押さえておきたいポイント」と、「この文章に対する自分の思い」を明示することで、伝わりやすい文章になるということなんだと思います。

そして代表的なフックとして「?」(問いかけ)と、「!」(問いかけに対する答え)が紹介されています。「?」で始まり「!」で終わることで、歯切れがよく、読み応えのある文章になります。

また、1つの「?」を深く読みとしていくと、さらに新しい「?」が見つかて行くことがあります。それらの「?」にたいして「!」を追い求めていくことで、文章の深みが増していくのではありませんか?

書く機会が多くなった時代

いかがでしょうか。現代は仕事上の文章やブログなどに限らず、メール、SNS、チャットツールなど何かにつけて書く機会が多くなっています。書くことに対する苦手意識をなくすことは、大きな意義を持っているのではないのでしょうか。 前述した通り、この本は読むのが苦手な僕でも苦労せずに読むことができました。今回ご紹介した内容は、全体のごく一部です。文章が書けずに悩んでいる方は、一度手にとってみてください。