「超」整理法にもう一度向き合ってみた


野口悠紀雄 先生の「超」整理法---結構有名なこのワード。そして、紹介されている整理法『押し出しファイリング』。僕は、この方法をちょっと応用してPC上のデータ管理に使っています。

縁あって、この方法を他の方々に紹介する機会があったのですが少しだけ反応いただきました。

いい機会なので、長年お世話になっているこれらの方法にもう一度向き合ってみたいと思います。本記事は僕の所属しているコミュニティ--ノンプロ研 の『ノンプロ研 Advent Calendar 2019』adventar.org11日目の記事です。

・押し出しファイリング

そもそも、「超」整理法-『押し出しファイリング』が世に紹介されたのは以下の本。

「超」整理法―情報検索と発想の新システム(1993/11/1)

因みにこの記事を書いているのが2019年12月。25年以上前に提案されていたんです。
僕は、今も『押し出しファイリング』を運用し続けているのですが、とても有効です。

本書の中の序章で一般粋な整理法に対する問題定義がなされています。要旨は
 ・情報を分類することは不可能
 ・すべての情報に共通する唯一のキーは『時間軸』

そして第一章にて、『押し出しファイリング』が紹介されています。

押し出しファイリング』とは
・角2サイズの封筒(A4書類が入るもの)を複数用意する
・書類をひとかたまりずつ封筒に入れて書棚に並べていく
・紙の書類はすべてここに集中させ、他の場所におかない
・新しく追加した封筒や取り出して使用した封筒は左端に置く
・使われない封筒は徐々に右に溜まっていくので、しかるべきタイミングで中身を捨てるか保存するか決める

そもそも、複雑化した情報社会の今、情報を完全に分類することなど不可能です。
分類しようとすると様々な問題が出てきます。(コウモリ問題--どの分野に分類していいか解らない その他問題--分類できない情報が山のようにたまる 誤入問題--間違えて分類してしまったが最後、2度と探すことができなくなる)
そして、そんな不完全な状態では効率のいい情報の取り出しなど出来ない。

そこで、情報は分類せずに1か所にまとめて時間軸で管理する。
(ポケット一つ原則--上着にポケットが一つしかなければ、どのポケットに入れたのか迷うことはない)

でも、ちょっと待って!!野口先生は本書の中で分類はムダと述べているけれど
書類を封筒に入れていく段階で分類しているんじゃないの?そんな疑問を持っていました。分類しなくていいのであれば、封筒もいらないでしょ!!

僕は長年この方法を使ってきましたが、やはり封筒は必要です。
封筒がないと、雑然として書類の束がだきるだけ。情報の検索なんて絶対できません。

つまり、
分類は厳密でなく緩やかで構わない。全体は時間軸で管理
っていうことではないのかな!!

この『穏やかな分類』のさじ加減が勘所だと思うのですが、当然人によります。
野口先生はこの辺どう思っているんでしょう?

・パソコンによる「超」整理法

続いて第二章はパソコンによる「超」整理法となっています。
こんなに昔からパソコンを使った情報管理に着目するなんて、野口先生さすがです!!

因みにこの時、野口先生のパソコンHDD容量は80MB!!
1か月に約1MB強の文章を書く(通信文や既存ファイルの修正も含む)
標準的なボリュームの新書である「超」整理法の原稿容量は約0.2MBとのことです。

運用方法は、HDDの中を年月別にディレクトリを作って該当年月のファイルを保管。
作業はフロッピーディスク(容量は約1MB、今となっては死語)ベース。ファイルは基本的にテキストファイル。

HDD中のファイルは以下をキーにして検索していく。

 第一キー⇒時間軸
 第二キー⇒拡張子 論文の場合はRON、メモの場合はMEMなどとしておく
 第三キー⇒ファイル名 最初の3文字を相手先(出版社など)としておく
 第四キー⇒ファイル中のワード

あれ?拡張子やファイル名ををキーにするって、分類してるよね?
やっぱり少しは分類しないといけないのかな?

・「超」AI整理法

 確かに便利!!でも改めて見直してみるとちょっと疑問が残る。25年以上前のことだしパソコンの性能は爆発的に向上してるし、野口先生は今、どう考えているんですかね。

 と、言う訳で以下を取り寄せてみました。

「超」AI整理法 無限にためて瞬時に引き出す(2019/6/29)

 半年前!!っていうか野口先生、来年80歳ですよね?

で、書いている内容はというと・・・

・コンピューター(スマホ)は大幅に性能アップ!!音声入力や画像認識が可能になったので使いやすくなった。
・情報量は爆発的に増えたので、捨てたり分類せずに検索する方法が適切
・「超」整理法-『押し出しファイリング』は情報爆発時代で重要な考え方だ!!
・文章のアーカイブはGメールの送信記録で!!
・音声入力、画像認識であんなことや、こんなことが出来る!!

『押し出しファイリング』については、同じ内容が書かれているだけでした。残念。
先生はそんな些末な(?)ことより音声入力や画像認識に夢中みたいです。お若いですな。
80MBのハードディスクはGメールに置き換わったんですね・・・時の流れを感じます。
そして、これらを駆使して原稿の執筆スピードは数倍に跳ね上がってる!!

『押し出しファイリング』の内容自体は変わっていないので、やはりある程度の分類は必要なようで、それは使っていきながら勘所を養っていく形になりそうです。また、よく読んでみると検索キーワードの重要性が述べられています。やっぱり、ただデータを放り込んで置くだけじゃダメなんですね。

・やはり一筋縄ではいかない

 『押し出しファイリング』自体はとてもシンプルなのですが、それゆえ奥が深く簡単には結論出ないようです。でも、それを再認識できたのは良かったです。

 さて、冒頭で簡単にお話したのですが、僕は、この方法を応用してPC上のデータを管理するツールを作って使っています。『押し出しファイリング』の構成要素を以下のように置き換えて管理するツールです。

  書棚→親フォルダ
  角2の封筒→親フォルダ下のフォルダ群
  書類→データファイル

 開いた日時を記録しておいてその順番に並べて表示する。
 各フォルダには、インデックスつけて検索できる。

自分で言うのも何なんですが、これが「超」便利。今回学んだポイントも踏まえて更にパワーアップしたら、皆さんにも紹介できたらいいなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!!